デリヘルで働いている人から多く寄せられる質問が「税金って払わないといけないの?」というものです。
日払い・現金手渡しでの収入が一般的なため、「税務署に知られないのでは」と考える方も少なくありません。
私たちは税理士として年間600件以上、夜職の確定申告を専門的にサポートしてきました。
デリヘルをはじめとした水商売の現場から寄せられる悩みやトラブルに対応してきた経験をもとに、この記事では「デリヘルと税金の基本知識」をわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、確定申告が必要になる金額の目安、経費にできる支出、無申告のリスク、税務署に把握される仕組みまで理解できます。
結論として、所得が45万円を超えた場合には住民税の申告が必要と考えて行動するのが安全です。
第1章:デリヘルの収入は課税対象か
デリヘルで得た報酬は、税法上「事業所得」として扱われます。
会社員の給与のように源泉徴収が行われるわけではなく、働いた本人が自ら確定申告を行い、税金を納める仕組みです。
「現金手渡しだから大丈夫」と思う方も多いですが、実際には課税対象から外れることはありません。
お店側が作成する帳簿や銀行振込の履歴から税務署が収入を把握することは十分に可能です。
給与所得との大きな違いは「給与所得控除」がない点です。
会社員であれば年収から自動的に65万円が差し引かれますが、デリヘルの収入は事業所得なので控除はなく、自分で経費を計上して所得を圧縮する必要があります。
第2章:2025年12月改正後の基礎控除と申告要件
2025年12月の税制改正により、基礎控除の金額が変更されました。
- 所得税の基礎控除:95万円
- 住民税の基礎控除:43万円(非課税限度額は45万円超で申告必要)
この違いにより、「95万円以下なら税金は不要」と誤解するケースが増えています。
しかし実際には住民税は45万円を超えると課税対象になるため、申告を怠ると後から納付を求められることがあります。
また、給与所得者に一律で認められる給与所得控除65万円は、デリヘルの事業所得には適用されません。
そのため、自分で必要経費を記録して所得を減らす必要があります。
所得税と住民税の比較表
区分 | 基礎控除 | 給与所得控除 | 非課税となる収入ベース | 非課税となる所得ベース |
---|---|---|---|---|
所得税 | 950,000円 | 650,000円 | 1,600,000円以下 | 950,000円以下 |
住民税 | 430,000円 | 650,000円 | 1,080,000円以下 | 450,000円以下 |
この表からも明らかなように、デリヘル収入の場合、所得が45万円を超えた時点で住民税の申告が必要となります。
第3章:確定申告が必要になる収入ライン
デリヘルのみで働いている場合は、経費を差し引いた後の所得が45万円を超えると住民税の申告義務が発生します。
一方で、会社員として給与をもらいながら副業でデリヘルをしている場合は、さらに注意が必要です。
給与所得控除65万円と基礎控除95万円があるため、所得税に関しては「副業所得が20万円超」で確定申告が必要となります。
ただし、住民税については副業であっても45万円を超えると必ず申告義務が生じます。
短期間の勤務であっても、日給が高い業種であるため、すぐに基準を超えてしまうケースが少なくありません。
第4章:経費にできるもの
デリヘルの収入は事業所得にあたるため、必要経費を計上できます。
適切に経費を処理することで、納税額を抑えることが可能です。
- 仕事用の衣装(ドレス、下着)
- 美容費(ネイル、ヘアメイク、エステ)
- 出勤にかかる交通費(電車代、タクシー代)
- 消耗品(化粧品、ストッキングなど)
- 携帯電話代(業務連絡に使用する部分)
- プライベート中心で使う高級バッグやブランド品
- 家族や友人と行く食事代
- 趣味目的の旅行費用
経費を証明するには、領収書やレシートの保管が必要です。
最近はクレジットカードの利用明細や電子領収書も有効な証拠になります。
第5章:無申告リスクと加算税
デリヘル収入を申告せず放置すると、後から大きなペナルティを受ける可能性があります。
- 無申告加算税:期限内に申告しなかった場合、原則10%。調査で発覚すると最大30%課されることがあります。
- 延滞税:納付が遅れた日数に応じて加算されます。長期間放置すると利息のように膨らみます。
- 税務調査のリスク:銀行口座やお店の売上帳簿、マイナンバーを通じて収入を把握される可能性があり、現金手渡しでも安全とは言えません。
特にデリヘルは日給が高く、数か月の収入でも基準を超えやすいため、申告は避けて通れません。
第6章:よくある誤解と失敗事例
デリヘルで働く人の間には、税金に関して多くの誤解が広まっています。
ここでは代表的な3つの誤解と、その危険性を解説します。
デリヘルでは日払いの現金手渡しが多いため、税務署に知られないと考える人がいます。
しかし、実際にはお店側が支払調書を作成し税務署に提出している場合があります。また、銀行振込で受け取った分は口座履歴に残ります。
マイナンバー制度により、現金の動きも含め税務署が情報を得やすくなっているため、現金だから安全という考え方は非常に危険です。
数週間や数か月の短期出稼ぎであっても、所得が45万円を超えれば住民税の申告が必要です。
デリヘルは日給が高いため、短期間でもすぐに基準を超えてしまうことがあります。
短期だからと安心して申告を怠ると、後から数年分をまとめて指摘されるリスクがあります。
「友人もデリヘルで働いているけど申告していないから自分も大丈夫」と思うのは大きな誤解です。
税務署は個人単位で課税状況を管理しています。周囲が無申告でも、自分に調査が入れば追徴課税の対象になります。
周りに合わせて判断するのではなく、法的基準に従うことが重要です。
風俗とパパ活で年収1,000万円 ― 無申告3年で税務調査、500万円を支払った26歳女性の実体験
風俗で年間800万円、パパ活で200万円の収入を得ながら3年間無申告を続けていた26歳女性に税務調査が入りました。
最初は「現金とPayPayだから大丈夫」と思っていましたが、電話での呼び出しから調査が始まり、隠していたパパ活収入も追及され、最終的に500万円の納税に。
第7章:FAQ
ここでは、デリヘルで働く人が特に疑問に思いやすい内容をQ&A形式で解説します。
基礎編
- デリヘルの収入は必ず申告必要?
はい。所得が45万円を超えると住民税の申告義務が発生します。現金手渡しでも課税対象です。
- 45万円以下なら申告不要?
所得税については95万円以下なら不要ですが、住民税は45万円を超えると必要です。
実務上は45万円超で申告必須と考えるのが安全です。
- 家族にバレない方法はある?
住民税の通知が世帯主に送付されるため、親や配偶者と同居しているとバレやすいです。
市区町村に「納税通知書の個別送付」を申請する方法があります。
- マイナンバーで必ずバレる?
マイナンバーと銀行口座、税務情報がひも付けられるため、無申告は以前より把握されやすくなっています。
- 経費にできる範囲は?
仕事用の衣装、美容代、交通費、消耗品などは経費に計上可能です。
ただしプライベート利用が大きい支出は否認される場合があります。
- 日払いの現金も対象?
はい。現金でも課税対象です。収入をノートやアプリで記録しておくと安心です。
- 短期出稼ぎでも必要?
短期でも所得45万円を超えれば申告義務があります。
- 扶養から外れるのはいつ?
所得が58万円※を超えると、親の扶養から外れる場合があります。
※2025年12月税制改正~
- 確定申告は難しい?
可能ですが、仕訳や経費の扱いが複雑なため、税理士に依頼する人も多いです。
- 無申告でも大丈夫?
大丈夫ではありません。後から税務署に把握されると、加算税や延滞税が発生します。
実務編
- 無申告で調査されたら?
過去3年分をさかのぼって課税されることが一般的です。
重加算税を含めて数十万円〜数百万円の追徴課税になるケースもあります。
- 出張先で稼いだ分も対象?
はい。日本に住んでいる限り、国内外で得た収入はすべて課税対象です。
- ネイルや美容院代は経費?
接客に直接関わる範囲は経費になります。ただし過度な高額利用は否認される可能性があります。
- 税理士費用はどれくらい?
内容や所得額により異なりますが、10万円前後から依頼可能です。
夜職専門の税理士に依頼することで安心して対応できます。
- 住民税はどう支払う?
確定申告後に市区町村から納付書が送付されます。
勤務先に知られたくない場合は「普通徴収」を選びましょう。
- 経費はどう証明する?
領収書やレシート、カード明細を残すのが基本です。証拠がなければ否認される可能性があります。
- 青色申告は可能?
事業所得なので可能です。帳簿付けや届出が必要ですが、控除額が増え節税効果があります。
- 確定申告を忘れたら?
期限後申告は可能ですが、無申告加算税や延滞税が課されます。早めに対応することが重要です。
- 税務署が注目する人は?
短期で高収入を得ている人や、銀行口座に多額の入金がある人は調査対象になりやすいです。
- 税務署から連絡が来たら?
むやみに答えず、すぐに税理士に相談しましょう。専門家が対応することで不利になるのを防げます。
第8章:税理士に依頼するメリット
まず、税務署からの問い合わせや調査に対応してもらえる安心感があります。
経験豊富な税理士であれば、交渉や説明を代理してくれるため、本人が直接やり取りするよりも有利に進められます。
また、節税ノウハウを活用できるのも大きな利点です。
衣装代や美容費など、どこまで経費にできるかは判断が難しい部分です。
税理士に依頼することで、適切に経費計上でき、結果として税負担を抑えることができます。
さらに、無申告リスクを未然に防げます。
期限内に正しい申告を行うことで、10%〜30%の無申告加算税や延滞税を回避できます。
まとめ
短期勤務や現金手渡しであっても課税対象となり、無申告を続けると10%〜30%の加算税や延滞税が発生し、税務調査のリスクも高まります。
正しい知識を持ち、期限内に申告を行うことが安心して働き続けるための第一歩となります。
今すぐ正しい行動を取り、安心して収入を守りましょう。